₁₃₅.時間・分単位の欠勤控除

 思えばもう1年半前になるが、当Blogも最初は遅刻の話( ー 遅刻の統計学 ~ プロローグ ~ ー '22.10.14)だった。

 ただ、仮に従業員が3分遅刻したとしても、ゼェゼェハァハァ顔を真っ赤にして駆け込んできて「遅刻…。して…。す…。すんません…。ハァハァ…」と言われたら「次から気をつけろよ」で済ませることが多いだろう。

 こういう従業員に有利な扱いは問題ないが、いかに《3分ぐらい大したことないだろう》と当然のごとくふてぶてしい態度で出勤してこられても、「憎たらしいから10分欠勤!」というわけにはいかない。『減給の制裁(₁₂₃.減給の制裁には限度額がある)』は別の話なのでここでは考慮しない。

 出退勤の時間管理は『1分』単位より大雑把であってはならないことになっているので、時間単位・分単位の欠勤控除も当然想定される。
 ここでは、月給の場合の時間単位・分単位の控除額を考える。

 『考える』と言っても基本は各々の方法で求めた日額を、時間額なら所定労働時間(8時間なら8)で割り、『分額』ならさらに60で割ればいい
 ただ、ここで端数の扱いには原則がある。
 

控除額は切捨て・支給額は切上げ

 
というのがそれだ。
 この場合、たとえば月給30万円の方が3分欠勤した場合の欠勤控除額は、その月の所定労働日数が19日で『日割』とすれば、1分あたりの単価が32.89円なので、端数を切捨てた『32円』を使って

① 32円/分 × 3分 = 96円
とするか、
② 32.89円/分 × 3分 = 98.67円 を切捨てて 98円

のどちらかを控除することになる。
 欠勤控除関係で『3分』分を『支給』するというシチュエーションはちょっと想像しづらいが、もしそういう事態があれば、

① 33円/分 × 3分 = 99円
または
② 32.89円/分 × 3分 = 98.67円 を切上げて 99円

を支給することになる。ここで99円と同じ金額になったのはたまたまだ。

 1時間は60分もあるので(こんなところで文句を言ってもしょうがないが)、『分額』を先に端数処理してしまうと最大60円近い誤差が出ることになる。『〇〇分の控除額(または支給額)』を求めるときの端数処理は最後にやった方がいいだろう。

 ここでは、給与が月額基本給だけの場合、それぞれの日額・時間額・『分額』を算出した。上に書いたように端数処理は控除額・支給額のどちらを基にするか、またどの段階で端数処理するかで微妙に違ってくるので、必要と思われる位まで小数点以下も示してある。

 もちろん、職務関連の定額の手当はこの金額に含めて良い。また、残業手当があったとしてもこの単価には影響しない。また、基礎賃金は、前回と同じ年間所定労働時間1960時間で考える。
 

・ 月給30万円のとき

           日額      時間額     分額
    基礎賃金   14,696.0円   1,837.0円   30.61円
日割  月18日   16,666.6円   2,083.3円   34.72円
 ”  月19日   15,789.4円   1,973.6円   32.89円
 ”  月20日   15,000.0円   1,875.0円   31.25円
 ”  月21日   14,285.7円   1,785.7円   29.76円
 ”  月22日   13,636.6円   1,704.5円   28.41円
 ”  月23日   13,043.4円   1,630.4円   27.17円
 

・ 月給25万円のとき

           日額      時間額     分額
    基礎賃金   12,248.0円   1,531.0円   25.52円
日割  月18日   13,888.9円   1,736.1円   28.94円
 ”  月19日   13,157.9円   1,644.7円   27.41円
 ”  月20日   12,500.0円   1,562.5円   26.04円
 ”  月21日   11,904.8円   1,488.1円   24.80円
 ”  月22日   11,363.6円   1,420.5円   23.67円
 ”  月23日   10,869.6円   1,358.7円   22.64円
 

・ 月給20万円のとき

           日額      時間額     分額
    基礎賃金     9,792.0円   1,224.0円   20.40円
日割  月18日   11,111.1円   1,388.8円   23.15円
 ”  月19日   10,526.3円   1,315.8円   21.93円
 ”  月20日   10,000.0円   1,250.0円   20.83円
 ”  月21日     9,523.8円   1,190.5円   19.84円
 ”  月22日     9,090.9円   1,136.4円   18.94円
 ”  月23日     8,695.6円   1,087.0円   18.12円
 

・ 月給181,790円のとき

           日額      時間額     分額
    基礎賃金     8,904.0円   1,113.0円   18.55円
日割  月18日   10,099.4円   1,262.4円   21.04円
 ”  月19日     9,567.9円   1,196.0円   19.93円
 ”  月20日     9,089.5円   1,136.2円   18.94円
 ”  月21日     8,556.7円   1,082.1円   18.03円
 ”  月22日     8,263.2円   1,032.9円   17.21円
 ”  月23日     7,903.9円    988.0円   16.47円
 

・ 月給156,800円のとき

           日額      時間額     分額
    基礎賃金     7,680.0円    960.0円   16.00円
日割  月18日     8,711.1円   1,088.9円   18.15円
 ”  月19日     8,252.6円   1,031.6円   17.19円
 ”  月20日     7,840.0円    980.0円   16.33円
 ”  月21日     7,466.7円    933.3円   15.56円
 ”  月22日     7,127.3円    890.9円   14.85円
 ”  月23日     6,817.4円    852.2円   14.20円
 

 最後の月給181,790円と156,800円というのは、東京と北海道の最低賃金を想定したものだ。この場合、月21日以上になると各々時間額が最低賃金を下回るが、最低賃金は月給の場合、基本的に

月給 × 12 ÷ 年間所定労働時間

で決まるので、『月給』がこの計算式によって算定した最低賃金以上に設定されていても、たまたま労働日数の多い特定の月についての時間額が一時的にこれを下回る場合はある。
 

時給・日給の場合の欠勤控除

 
 もともと時給・日給のみの場合は、ここまで述べたような面倒な考察は必要ない。
 日給の場合は単純にこれを『所定労働時間』で割れば時間給となり、さらに60で割れば『分給』になる。例として挙げると次のような感じだ(所定労働時間1日8時間とし、端数は四捨五入とする。)。

   日給    時給     分給
 20,000円   2,500.0円   41.67円
 16,000円   2,000.0円   33.33円
 15,000円   1,875.0円   31.25円
 14,000円   1,750.0円   29.17円
 13,000円   1,625.0円   27.08円
 12,000円   1,500.0円   25.00円
 11,000円   1,375.0円   22.92円
 10,400円   1,300.0円   21.67円
 10,000円   1,250.0円   20.83円
  9,600円    1,200.0円   20.00円
  9,000円    1,125.0円   18.75円
  8,904円    1,113.0円   18.55円
  8,500円    1,062.5円   17.71円
  8,000円    1,000.0円   16.67円
  7,680円     960.0円   16.00円
  7,200円     900.0円   15.00円
  7,144円     893.0円   14.88円

 

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2024年04月12日